Vozvrashcheniye永遠回帰:映画『父、帰る』(Vozvrashcheniye)を観て。日曜日ではあるけれど パンと葡萄酒の昼餐が最後の晩餐を思い起こさせる。 「銀のこし」の映像が 物寂しい海岸線の風景を いぶしたようなモノクロームに抑えて いつまでも網膜と脳裡にとどまるよう。 「パパと呼びなさい」と叩きつける、12年後に帰ってきた父親。 ワーニャはなかなかパパと呼ばなかった。 それはどこかよそよそしくイワンと呼び続ける父への反発だったようにも思える。 (イワンの愛称はワーニャ、イワンをワーニャと呼ばない父) お互い父と子としての甘やかし方、甘え方を手探りしながら見つからず、 苛立ち衝突してしまっている。 それでも世間知らずの子どもたちに世に出ることをおしえようとする そんな父親の姿は生き急いでいるようにも見えた。 家にあるのは家族4人写った写真 父の車にあったのは3人写った写真。 おそらく父親がカメラを手にして3人を写したのだろう。 3人を撮った写真と 旅行を撮った写真に父親の姿がなかなか見つからず一瞬不安になった。 父はほんとうに帰ってきたのか、いっしょに旅行に行ったのか。 最後に謎を深める構成。 よそよそしかった父親の希薄な像は最後に消失するよう。 旅の終わりで強烈な父の愛を息子たちの心に刻印するから。 いちばん最近見聞したこと 最後に見聞したことがつよい印象で心に残り続けるように 父の愛情とその記憶はもう失われることがないようだった。 容(かたち)はなにものこらない、でも 愛は容ではないと言っているかのように。 無償の愛は昇華して永遠にここにとどまると言っているかのように。 *銀のこし フィルムに銀を取る漂泊処理を施さないため カラーとモノクロームの中間のような発色になる。 Copyright 2004-2007 Dalnara, confuoco All rights reserved. |